【創業支援コラム】20150518 資金調達とビジネスプランの策定その2
前回に引き続き日本政策金融公庫の方のお話しとして創業計画書の必要性について書いてみたいと思います。
3、最後は創業計画書の作成です。
ではなぜ創業計画書が必要なのでしょうか。
①自分のため(考えをまとめる)
事業構想を体系的に整理し、事業化するための課題とやるべきことが明確化されます。
②他人に見てもらうため(第三者の冷静な目で客観的に見てもらう)
③支援者の協力を得るため
金融機関、出資者、取引先等にビジネスを理解してもらうためになくてはならないものです。
これについては前記1、2、と重複する箇所もありますが、概要を説明すると次にようになります。
(1)事業の全体構想、イメージ
・創業動機、事業目的、将来ビジョン
・市場調査・情報収集
情報不足は事業イメージを過大評価してしまう危険性を生じさせます。
参入する市場の状況、業界動向、第三者の意見などにより、事業の客観的な評価を実施しましょう。
(2)事業内容の具体性
・取扱商品、サービス、技術等の内容、価格設定、販売方法、立地、営業時間、セールスポイント
既存企業と差別化できる特性を持つことが重要です。
・販売先・販売条件、仕入先・仕入れ条件
販売先や仕入先との結びつきなどがあれば記入します。契約書や注文書などがあれば添付します。
・従業員
営業力、技術力、接客力、経理力など、必要とする能力を持った人材を採用します。
創業時での従業員確保は難しい、人件費が経営面で大きな負担となるとすれば、
パートやアルバイト形態での雇用や家族の協力も検討しましょう。
③資金計画
前述のとおりで、必要な資金や調達方法等を検討しましょう。
④収支計画
・できるだけ「客観的」な計画を作成します。
自分一人で考えると、どうしても希望的観測が入ってしまい、甘い見通しになったり、過大評価になってしまったりしてしまいがちです。
これを避けるには作成した計画を第三者に見てもらう、市場調査や経営指標の活用をする、同業者との比較検討を行うなど、多角的な検証が必要です。
それによって売り上げ予測が甘くないか、見落としている経費は無いか・・・などのチェックができます。
特に第三者に見てもらうことは是非やっていただきたいと思います。
周りをどんどん巻き込んでください。
自分で動かないと助けてくれませんから、ここは積極的に行きたいです。
・売り上げや利益は予想通りにはいかないものだという心得が必要です。
実態調査では、創業して1年後に予想売上を達成した企業は48.4%、平均は予想売上の80%程度です。
ということは、売上が予想の8割程度となっても返済が可能かを考えることが必要となります。
・収支だけでなく、資金繰りに注意しましょう
帳簿上、利益が出ていても、実際の現金の出入のタイミングで、支払う資金が不足することがあります。
ですから3~6か月先までの資金繰りの見込みを立て、運転資金が不足しないようにする必要があります。
以上2回に分けて創業時における資金調達についてお話ししました。
どうすれば創業が成功するのか、金融機関は資金が必要なときに本当に融資してくれるのか、そしてどこを見て融資する・しないを決めるのか、といったことについてある程度イメージできましたでしょうか。
また事業には、創業前の怠りない準備と創業後のたゆまない経営努力が必要です。
悩んで時間だけが過ぎていってしまうというようなときは、まずは相談です。
金融機関や商工会、県や市町村、そして我々税理士など、いろいろな創業支援機関を活用してください。