【創業支援コラム】20150110 起業時のお金の悩みその3
前回は開業資金をどうやって集めるかということについてお話ししました。
今回は調達したお金をどうやって管理していくかをご説明いたします。
管理するといっても何のことやらという感じですが、事業を始めるに当たっては、起業前に収支計画を立て、起業後は毎月その収支計画と実績とを比較して再度計画を検討していかないといけません。
① 毎月の収支計画を立て、赤家事補てん資金の必要額を計算します。
まず収支計画ですが、売上と支出を見積もり、毎月の収支計画を作ります。
このとき売上や収入は後の分析に役立てるために商品ごと、お客さんごとに見積もります。
支出も固定費、変動費、その他の費用、返済、生活費など、もれが無いように見積もります。
その計画の作り方ですが、いきなり1年分というのは難しいので、創業後の売り上げをある程度想定し、1か月間の収支計画から作っていきます。
項目は、先にも述べましたが売上高、仕入高、生活費、人件費、家賃、広告宣伝費、通信費など事業の種別に応じて毎月の収支をもれなく計上します。
またこれらの売上高や仕入高、人件費などの経費についてはその計算根拠も必要です。
飲食店でしたら、お店の広さや席数、回転率、平均客単価などから想定できるでしょう。
また、独自の商品や販売チャネルなどの強みなどがあればこれも反映できるでしょう。
こうやって作成した1か月間の収支計画をもとに創業後6か月分を計画してみましょう。
支出は毎月変動が少ないので比較的簡単に計画できると思いますが、売上の推移は悩まれるのではないでしょうか。
創業当初は少なく、軌道に乗り始めれば増えてきて、うまくいけば想定した売上高になっていくと思います。ですがそれがいつになるのかわからないという問題が出てきます。
売上などは計画から遅れが生じやすいので、後で慌てなくてもいいように売上は遅めに支出は早目にと考えておき、計画でもこれを反映させたものとすると良いと思います。
6か月ができたら1年目、2年目と想定していきましょう。
ここまでできれば計画上、創業当初は赤字が続き、ある時点から売上が伸びて黒字になるという計画ができていると思いますので、赤字補てん資金の必要額も見えてきます。
ここで、その赤字ですが、損益的に利益が出ているかどうかではなく、資金的に黒字か赤字かで判断します。
例えば製造業の場合、材料や人件費が先行し、製品が売れてお金を回収するまでに時間がかかりますから、その間の資金手当てが必要です。
ですから、売上高から仕入高や経費を差し引いた事業としての利益から、生活費はもちろん、借入による資金増加や、借入返済による減少も考慮して資金計画を立てなければなりません。
売上はそれに見合った額が必要ですからここで初めて、創業の大変さを実感できる人もいるでしょう。
この売上高を稼いでいくにはどうすればよいかということを実感し、計画を具体化するためにも、収支計画の作成は非常に大切なことなのです。
② 実績のフォロー
当初の計画段階ではすべて想定でしたが、事業が開始されれば実績ができます。
そこでその実績をもとに今後の見込みを再度計算します。
起業後、計画と実績を比較し、今後の対策を練ります。
特に売上は計画段階では想定が難しいため修正が必要になるでしょう。
資金不足の多くは売上が予想を下回るために生じます。
当初計画で想定した軌道に乗る時期になっても赤字が続くときは、計画を練り直し、(資金的に)黒字化するまでの道筋を明らかにします。
今後の販売拡大に必要な先行経費も織り込んでいかないといけません。
このように新たな経費の発生も考慮しつつ今後の収支の見込みをはっきりさせるため再度収支の見積もりを行い、現状の資金はいつまで足りるか?いつ黒字に転じるか?ということを検討します。
その際、売上が予想を大幅に下回るようでしたら、早期の撤退も含めて考えていかないといけません。
いかがでしたでしょう、大変そうですよね。
・・・・実は非常に大変です。
最初から最後まで自力というのは難しいかもしれません。
ですから自治体などでやっている創業スクールなどを利用していただいてもいいと思いますし、我々税理士にご相談していただいても良いと思います。・・・と、少し宣伝もさせていただいたところで「起業時のお金の悩みその1、2、3」は終了させていただきたいと思います。