【創業支援コラム】20150109 起業時のお金の悩みその2
前回は起業をお考えのみなさんに開業資金がどれくらい必要かということについてお話ししました。
でも日々の生活費に住宅ローンの返済・・・、子供の学費・・・、正直そんなに貯めるのはちょっと難しいなぁ・・・。というのが本音ではないでしょうか。
そこで、今回は開業資金をどうやって集めるかということについてお話ししたいと思います。
① やっぱりまずは自己資金です。
お金を出してもらえば、例えそれが親や兄弟でも、相手に対して責任が生じます。
ですからできれば自分で資金を作りたいものなのですが、自己資金を急に増やす方法はありません。コツコツ貯金に励むのみです。
開業を夢見てきた皆さんでしたら、ある程度開業資金は貯まっているのではないでしょうか。
貯金以外で余裕資金を株で運用しているものなど、お金に換えられるものはお金に変えましょう。
株式投資は他者への投資でしたが、開業は自分への投資です。
リスクもありますが、成功した時のリターンは非常に大きいものとなるでしょう。
用意するお金は必要額の30%以上を目安にしてください。
ただし、設備投資を伴わない場合は、必要額の半分は自己資金で賄えるようにしてください。
② 次に考えるのが借入金です。
この借入先ですが、民間銀行は事業実績が必要ですので、日本政策金融公庫の国民生活事業が中心となると思います。
新創業融資制度を利用すれば3,000万円まで無担保、無保証となっています。
ここで問題となってくるのが融資審査です。
では審査ではどんなところが要点となってくるのでしょうか?
・まずは経営者の人物です。バイタリティがあるか、性格はどうか、信頼できるのか、経験はあるか、などです。
・つぎは事業計画の内容です。売り上げの根拠はどうなっているか。具体的に商品やサービスは何か。ターゲット(客層)は。競合他社と比べた強み、違いは。
・そのほか、保有する資産はあるか、担保や保証人は。
などといったことだそうです。
融資審査では経営者の人物が最も重視されることが多いそうですが、書類などの形式面もきちんとできないと、管理能力や信頼性に欠けると判断されてしまいかねないので気を付けたいところです。
また先にも述べましたが民間銀行は実績が重視されますので、開業時からお付き合いするのはハードルが高いかもしれません。
ですが、事業内容の審査の中でプロの目で見てもらうことは事業計画を磨くうえで参考になることも多いと思います。
ですから日本政策金融公庫にせよ民間銀行にせよ臆せず向かい合っていただきたいと思います。
事業計画書の作成に関しては、地方自治体の起業セミナーへの参加や、我々税理士その他専門家のアドバイスを受けることも有効だと思います。
借入れの場合は同時に返済方法も考えないといけません。
それでは、返済財源はどうなるかということを簡単に示すと次のようになります。
返済財源=収入-支出(生活費を含む)-税金(利益があるとき)
税金まですべて払った後にも返済するお金を残さないといけないので大変ですが、現在はかなりの低金利です。
ですから利息の負担を気にするよりも資金繰りを重視した長期の借入れにすることによって、一時的に返済が苦しくなる時期があっても少し余裕が出ると思います。
③ また親などの縁故者からということも考えられます。
親や兄弟は比較的頼みやすいとは思いますが、年齢や収入などいろいろなケースがありますので無理は言えません。
ですが、まず身近な人を説得できないようではこの新規事業、うまくいきません。
その後の金融機関との交渉の練習と考えても頑張ってみる価値があります。
金銭面での協力を得られない場合でも事業計画についてアドバイスをもらえたりするかもしれません。
また、友人に頼むということもあるかもしれませんが、敬遠されるようになってしまうこともあるでしょうし、後々関係が悪くなったといった話も耳にします。
ですから資金調達先というよりもアドバイスをしてもらったり、情報を提供してもらったり、見込みのありそうなお客さんの紹介をしてもらったり、運営面で協力してもらえたらいいのではないでしょうか。
またスポンサー募集サイトのようなものや、勤務先の社長や上司も考えられますが、あまりあてにはできないかもしれません。
④ その他の資金調達としてベンチャーキャピタルによる資金調達や公的資金の活用といった方法があります。
ただし、ベンチャーキャピタルは他ではやっていないような事業の新規性が必要ですし、将来株式を公開して売却するのが前提で、審査が非常に厳しいためあまり現実的ではないかもしれません。
公的資金は創業促進補助金などの活用がありますが、書類作成に手間がかかり、領収書等の書類もきちんと整理しておかないといけませんので、最初から専門家と相談して慎重に取り組むことをお勧めします。
⑤ このような資金調達をする場合、調達方法として贈与や出資、借入などが考えられますが、それぞれの相違点をお話しします。
・縁故者などから贈与を受ける場合・・・返済義務がなく、経営に口出しもされませんが、一定額を超えると贈与税がかかってしまいます。
・出資の場合・・・返済義務はありませんが、出資者は経営参加できるので経営に口出しされることも想定しておかないといけません。
・借入れの場合・・・返済義務があります。貸し手は経営参加できませんが、決算書などで経営状態を報告する必要はあります。また事業の状態が悪くなれば貸し手として意見されることもあるでしょう。
ということで、起業時に必要なお金のすべてを自己資金で用意する必要はないということがお分かりいただけたと思います。
次の回では調達したお金をどうやって管理していくかをご説明いたします。